全件表示TopRSSAdmin
information


スポンサーサイト
-- / -- / -- ( -- )
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

_____________________________________________________________

-- : -- : -- | | page top↑
花影
2007 / 09 / 18 ( Tue )
1961年 日本 東宝(東京映画)
監督/川島雄三
原作/大岡昇平「花影」
撮影/岡崎宏三
キャスト/池内淳子 佐野周二 池部良 山岡久乃 高島忠夫 有島一郎 三橋達也 淡島千景 他

銀座のバー「トンボ」に勤める葉子(池内淳子)は、後始末を済ませて自ら死を迎えるべく横たわっていた・・・。2年前にさかのぼる。ここ3年ばかり、葉子は大学で西洋美術史の講義をしている松崎(池部良)の囲われ者になっていたが、別れ話になりあっさり切れた。昔の女給(今でいうホステス)仲間で現在は「トンボ」のマダムに納まっている潤子(山岡久乃)は、手切れ金を受け取らなかったと知り呆れた。葉子は、葉子に唯一関係を求めない男・骨董美術評論家の高島(佐野周二)に身の振り方を相談した。高島は今は落ちぶれ、潤子の居候的存在に過ぎない。結局は、葉子は潤子の店「トンボ」の雇われマダムとして、夜の銀座へ戻るのだった・・・―「goo 映画」を参考に―

以下は池部良祭40本目、川島雄三監督の『花影(かえい)』です。池部良の作品をスクリーンで見るのは、これが5本目。やっぱり大画面は良いなぁ♪
ひと言でいうと、ダメンズ・ウォーカーな女の物語って感じでした。
生い立ちはよく分かりませんが、主人公・葉子は養女として育てられ、10代半ばくらいでホステスとして銀座で勤め始める。骨董評論家や大学の講師、弁護士、テレビの演出家、会社社長など。30代を迎えても衰えないその美貌故、言い寄る男は数知れず。それぞれの男に誠心誠意尽くすも、結局は続かず別れてしまう。また男が言い寄る。また尽くす。また別れる。そんな事を繰り返す葉子が自殺をするまでの2年間の物語です。

さて、監督は川島雄三。この方は当時の映画監督の中じゃかなりの男前で、色々とモテたそうですね。逸話がいっぱいあるそうです。それを裏付けるかのように、バーの描き方がなんか凄いです。当時のバーの実態は知りませんが、山岡久乃や池内淳子の年季の入った雰囲気、バーテンダーの一見マダムに頭が上がらない風で、実はただ流してそうな軽薄さ、働く女の子達の客が離れた時のだれた仕草など等。それらが妙に生々しいです。客もまずカウンターで一杯飲んで、ホステスが来たら一緒にボックス席へ。その流れがあまりに当たり前で慣れてて、スクリーンからお酒と煙草と香水の匂いが嗅げそうなほどでした。
あと、面白いなぁ・・・と思ったのが、カウンターなら斜め後ろの通路から、ボックス席なら女と客の間から覗くように撮ってて。普通に正面から撮っているカットはあまりなかったように思います。だからかでしょうか?バーの客目線で、他の客の会話を聞いているような気になりました。なんか、作り手の場慣れ感を感じちゃいます。
劇中で、「男の人って、なんでバーに来るのかしら?」、「楽しくて来ている奴はいないな。楽しくて働いている女もいない。不思議なとこだよ、バーって」みたいな会話があって。う~ん、深いなぁ・・・(しみじみ)。他にも大人な会話が満載でした。

主人公・葉子を演じるのは、池内淳子。険があるくらい綺麗でした。当時28歳とまだ若いのですが、役は30代半ば以降の熟女。酸いも甘いも充分過ぎるくらい経験しただろうに、それでも男に何かを期待してしまう。夜の銀座に根を下ろす女の華やかさとしたたかさと、愚かさ。全てを見事に演じきっていました。ホント惚れ惚れしました。酔った時に下唇を舐める癖が本当に自然で、無意識故かちょっと品がない。そのこの葉子の奔放な魅力になってて、また良かったです。美人で一見固そうなんだけど、男が付け入る隙もある。そんな感じでした。

葉子が転々とする男達も秀逸でした。佐野周二の骨董評論家の歪んだ純愛とそれに伴ういやらしさ、高島忠夫のテレビ演出家の甘えた青臭さ、三橋達也の会社社長の誠実を盾にした嫌味っぽさ。(いや、三橋達也はそんなに悪い男じゃなかったんでしょうが・・・)
特に印象的だったのは、有島一郎の弁護士。妻とは死別し、血の繋がらない娘が一人いる。葉子に結婚を申し込み関係するも、結局裏切るという最悪振りを披露。しかも、裏切られた事を知った葉子が嫌味を言うと、人前でビンタを喰らわすという超ダメンズ。葉子を狙う男達の中で有島一郎だけが葉子とキスシーンがなかったと記憶していますが、ホテルの一室でのツーショットはいやらしかったなぁ。こんな有島一郎、多分初めてです。若大将のお父さんってイメージが強かったので、ホント驚きました。

20070918180622.jpg

葉子の女盛りを三年間も囲っていた大学の講師・松崎を、池部良。最初の登場シーンでは部屋着の着流し姿だったので、まるで風間重吉のようでした。スーツに着替えたら、いかにもインテリな大学講師でしたが。
あまりお金にならない小説か何かを書いていて、勿論妻子持ち。この設定は、『雪国』の島村を彷彿とさせますね。ただ、島村より妻子のある己の身をリアルに捉えているというか。妻が松崎の不倫を苦に自殺まで思い詰めている。娘にもそれが分かるみたいで懐かない・・・と愚痴のようにこぼし、それを聞いた葉子が癇癪半分に別れ話を切り出す。葉子の部屋を追い出されるような別れ際、腰を抱き寄せキスを迫る松崎。しぶしぶながらも応える葉子。・・・う~ん、こんな別れ方じゃ駄目ですよねぇ。後腐れが残らない訳がない。このシーン、池内淳子は後姿で、カメラは池部良の顔を捉えています。ちょっと陶酔ちっくなその顔は、男の自己愛というか身勝手さというか。色々感じちゃいました。
松崎の娘は、小児麻痺で足が不自由みたい。葉子が松崎が家族連れの時に偶然すれ違うシーンがあったんですが、その時の娘の顔が凄く印象的でした。葉子を睨む鋭い眼差し、小学校高学年くらいの娘がぞくっとするくらい美しく、女でした。

20070918180639.jpg

この作品、勝手にモノクロだと思っていました。桜の花びらが散るシーンが大変美しいと聞いていたので、『けんかえれじい』みたいなのかなぁ・・・と、それは楽しみにしていました。実際はカラーで、真っ黒な背景に浮かび上がる桜が鮮やかでした。花びらが散る中を歩く葉子と松崎。桜の美しさにただただ感動する葉子に、松崎は「今夜は帰らない」と繰り返す。葉子も最初はあしらうも、最終的に「いいわ、遊んであげる」と返す。やっぱり後腐れが・・・。
「映画俳優 池部良」の中で、池部良は相性の良かった女優の一人に池内淳子を挙げています。私もこの二人の共演は好きです。他は『けものみち』しか見ていませんが、お互いに持っているオーラや色気が合っている気がします。豊田四郎監督の『如何なる星の下に』もかなり暗いそうですが、いつか見たいなぁ。

冒頭で葉子が自殺をするのは分かってて、その理由を説明するかのように2年間の物語が展開します。しかし、だからといって葉子に同情するとかそういうのはありませんでした。彼女を追い詰めたのは男達だけでなく、結局は言い寄る男達全てを愛した彼女自身だったのでは?そんな気がしたから。八方美人というのとは違うのかもですが、淡島千景演じる旅館の女将の「女は女が見れば分かる。(結婚しても)あの人にはまた男が出来る」というセリフ。女として当たり前に結婚に憧れていながら、一人だけに愛され一人だけを愛する事に、彼女は果たして満足出来たでしょうか。愛し愛される美しさが失われる前に、彼女は自分の人生を終わらせたかった。そんな感想を持ちました。

予想に反して正統派な女性映画って感じでしたが、面白かったです。川島監督の作品はやっぱり魅力的、どこか惹かれます。『雁の寺』とか『しとやかな獣』とか、ひゃ~☆って思いましたもん!今後も、出来るだけ積極的に見て行こうと思います。
スポンサーサイト

_____________________________________________________________

22 : 47 : 07 | トラックバック(3) | コメント(0) | page top↑
<<トロント国際映画祭 | ホーム | ここに泉あり>>
コメント
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL
http://19740930.blog57.fc2.com/tb.php/404-bbefd40e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
カラー版 西洋美術史
長く続いている本です。高階氏の解説は丁寧で分かりやすいと思います。このような解説書を書くのは本当に難しいと思います。読む側の知識の深浅、興味、好悪などが違っています。全体の流れから入ってゆくのは、やはり東洋人だなあと感じます。西洋の人は、好きな画家をじっ 美術史をあげる【2007/09/30 08:15】
美の構成学―バウハウスからフラクタルまで
 構成学、という聞き慣れない言葉を、本書は教科書的ではあるが、非常に分かりやすくかつ丁寧にまとめてあり、駆け足という感じがしない。しっかり読めるが、同時に、先述した通り教科書的なニュアンス(情報や記述ではない)がやや重たく、それが駆け足になりがちな新書に 美術史をあげる【2007/10/07 11:39】
山岡久乃 画像
○○○に関する話題です。 流行に敏感なあなたは、きっとこの情報を必要としているはず。 かな?? 気軽に読んでいってください。 少しでもプラスになれば・・・ ではスタートです。関係有りそうなグッズと関連 最新情報缶【2008/01/17 16:47】
| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。