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早春
2007 / 10 / 15 ( Mon )
1956年 日本 松竹
監督/小津安二郎
脚本/野田高梧、小津安二郎
キャスト/池部良 淡島千景 岸惠子 高橋貞二 田浦正巳 田中春男 須賀不二男 中北千枝子 浦辺粂子 笠智衆 山村聡 杉村春子 宮口精二 加東大介 三井弘次 東野英次郎 他

杉山正二(池部良)は、蒲田から丸ビルの会杜に通勤しているサラリーマンである。結婚後八年、妻・昌子(淡島千景)との仲は倦怠期を迎えていた。ある日曜日、毎朝同じ電車に乗り合わせる通勤仲間と江ノ島へハイキングに出掛けた。その日から、金魚というあだ名の金子千代(岸惠子)との仲が急速に親しさを増す。会社の昼休みに昼食を共にする、退社後に二人きりで会う。そして、杉山は千代の誘惑に克てず、ある夜、初めて家を空けた・・・―「goo 映画」より一部抜粋―

池部良祭43本目です。
これは一度TV放送で見ました。おそらく我が人生初の池部良作品だったと思いますが、あれから3年以上経ち、今回改めてスクリーンで見ました。いやぁ・・・良かったです!小津監督による浮気だキスシーンだが話題のこの作品ですが、当たり前といえば当たり前だけど、描かれているのはそれだけじゃなく、大変奥行きのある作品でした。
毎日が同じ事の繰り返し。そんなサラリーマンの日常に嫌気を感じながらも淡々と過ごす主人公、同様の友人達。東京から遠く離れた町へ転勤させられた元上司もいれば、脱サラしてカフェバーを営む元上司もいる。職人として働く戦時中の戦友達には、サラリーマンは毎月毎月の安定した給料と出世が約束されていると羨ましがられるが、手に職がある職人の方が良いと返す。これもお互いない物ねだりのようで空しい。同僚の一人は肺病を患い、三ヶ月以上も家で寝たきりである。秋田の田舎から出て来た彼だけが、今も同じ情熱で丸ビルに憧れ焦がれ続けているという皮肉。
この日常への埋没のジレンマが、主人公を浮気へ走らせた・・・。なんて解釈は、ちょっと弁護し過ぎな気がするのであれですが、浮気をしたところでこの日常が変わる訳でなく。浮気の翌朝から、彼はもう後悔しちゃっていましたね。あまりによそよそしく冷たい態度に、この甲斐性なし!と^^;

脇が素晴らしく豪華でしたね。小津監督作品は毎回こうなんでしょうが、出番の一瞬、その表情とひと言で、演じる人物の背景が滲むのが見事でした。
浦辺粂子の煙草を投げ捨てる姿や、杉村春子の亭主を肴にした世間話や、中北千枝子の経験者語るや、加東大介の酩酊振り等など。どれも最高に楽しかったです。
特に、山村聡の脱サラ・カフェバーのマスター!きゃ~格好良い!!と、心の中で大興奮でした。あ~んな落ち着いたダンディ・マスターのいるカフェバーなら、そら通いますとも!!その所為か?私が一番好きだなぁ・・・と思ったシーンは、ラスト近くの、マスターと主人公が二人、東野英次郎の定年間近のサラリーマンの話を聞くシーンでした。動きはほとんどなく、ただ相槌のような目配せをするだけだけど、お互いがお互いを分かり過ぎるといった連帯感。これも空しいといえばそうだけど、凄く雰囲気がありました。この時、池部良の主人公は珍しく長袖のシャツを着ていて(基本半袖着用)、その白い袖から透ける腕の影が何故か無性に寂しかったです。

女性陣二人、岸惠子の浮気相手と淡島千景の奥さん。対極的な魅力と美しさがありましたが、一方は、奥さんがいる事を重々知りながら、関係を求める。一方は、夫の浮気を結局は許し、寂しい田舎の赴任先についてゆく。二人の行動に今は理解らしい理解は出来ませんが、女とはそういうもの??それを悲しいと思うか、愛しいと思うか・・・。う~ん、青い私にはまだまだ分からないなぁ。

キスシーンも語ろう(笑)。といっても、お好み焼き屋のシーンだけですよね。カメラも池部良の背中越しなので、肝心の口元が見える訳じゃない。しかし、観客の潜在的嗜好に訴える演出でしたね。「呼び鈴を押しちゃったのね」は、後の作品だけど、『雁の寺』の若尾文子の「足が絡まった」を連想しました。視覚的に描かない見せない、言葉で匂わせる。私は好きだなぁ、そういうの。
池部良のエッセイによれば、土手のシーンでもキスシーンを撮ったみたいですが、実際はなかったような。切られたのでしょうか??あそこでキスしちゃうのはあまりに流され過ぎだと思うけど、ちょっと気になります。

日本的日本的と言われる戦後の小津作品ですが、今回の『早春』に関しては、そこまで日本的に思いませんでした。勿論家は木造だし、東京~大津(滋賀)~三石(岡山)と、日本らしい風景も味わえる。けど、あくまで当時の日本、その時代の流行を描いた作品だと感じました。おそらく核家族が増え、縦の繋がりより横の、友人や同僚とのやり取りの方が主体になってくる。その中で孤立じゃないけど、悩みを抱え悶々とするサラリーマンの人生のある期間を切り取る。この主人公夫婦の倦怠期の始まりであるはずの、息子の死すら特に具体的には描かれず、物語はただゆっくりとペースを速める事も落とす事もなく進み、これまたゆっくりと許しと新たな始まりの結末へ辿り着く。だから、主人公の過去へのしこりや悲しみはあまり伝わらないけど、常に“今”の主人公を見る事が出来ました。半世紀も前の作品だけど、“今”を感じる。そこが小津作品の普遍的な、世界中で愛される魅力なんでしょうね。
そうそう。岸惠子や他のOL達の衣装もさる事ながら、淡島千景の浴衣の柄が、確か大柄な花びらか何かで。お洒落でした。今着ても素敵だと思うなぁ、あれは。
あと、音楽が面白かったです。野外の音がそのままBGM代わりにされるシーンが結構あって、しんみりだったり深刻だったりするのに、祭囃子とかジャズ?とか。他は、友人や戦友達と歌を歌うのも印象的でした。ぬしと私は玉子の仲よ、わたしゃ白身できみを抱く♪とか、あとがつくほどつねってみたが、色が黒くてわかりゃせぬ♪とか。今調べたら、あれが都々逸(どどいつ)なんですね。歌詞に捻りがあってリズムも良く、私には洒落て聞こえました。

今回の池部良は、変な言い方ですが、正に主人公でしたね。この人だけは、背負っているものが滲まない。物語が進む過程で吐露される、彼の言動によってのみ現れます。主人公らしく物語と一体になっている感じが、凄く良かったです。それに、身長がそこそこ高くて顔が良い以外は理由らしい理由はないけど、女が何処となく惹かれる。その辺りの魅力は、特に説明不要でしたね。かもし出しておりました。
煙草の箱を両手で回すシーンの演技は、小津監督にかなり絞られたそうですね。が、肝心の表情は注目し忘れちゃいました。だって、あまりにリズム良く箱を回すから・・・つい^^;。はい、次こそはちゃんとチェックします。ちなみに、煙草の銘柄はピースでした。
そして、今回も戦争を引きずっていましたね。一見引きずらなくても良さそうな、『恋人』や『若い人』も元兵隊という設定だったし、この方が当時のリアルなのでしょうか。淡島千景の奥さんには、「あんなのが兵隊だから日本が負けたのよ」って言われてましたが(苦笑)

笠智衆と山村聡の元上司が、瀬田でボートを一緒に漕いだ仲間で・・・という話が出て、お!我が地元じゃないか!と喜んでおりました。そしたら、ラスト近くで池部良と笠智衆が二人して、瀬田の唐橋(ですよね?)の袂に腰掛けるシーンが!そういえば、私の愛読ガイド「銀幕の湖国」でも紹介されたなぁ。またその内に、あの癒されるローカル線に乗って出掛けてみようと思いました。

20071015133311.jpg


池部良小話。
来月の新文芸座の小林桂樹特集では、東宝の『弥次喜多道中記』が上映されますね。これって、池部良と三船敏郎がコンビで出演しているんですよね。しかも、なんと!コミカルなあの踊りを披露しているとか。きゃ~見たい!!そのシーンはあんまりどーんとは映っていないみたいですが、どんなだろ?メッチャメチャ気になります。
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